『おこたでキウイ』　　“夢待乙女”さんより

冬休み前の帰り道。ランドセルしょって白い息。
「ただいま」って家に帰れば、部屋の中は暖かく、真ん中におこた。
そしておこたに置かれた「みかん」。
夕食までの時間、そのみかんをほおばり、
宿題をしたり、姉とトランプして過ごしたっけ。

やがてクリスマスがやってきて、
子ども会の集まりにも必ず「みかん」。
お正月にも「みかん」。
まさに私の「冬フルーツ」は「みかん」だった。

そして、まさに今その時期がやってきた。
子供たちにもいつか「冬フルーツ」の思い出が
「キウイ」になってくれたらいいなと思う。

めくるめく四季の中、子供たちの心の中に残るものは
様々な景色と食べ物。
春の遠足、夏休み、運動会、クリスマスやお正月。
やがて大人になったとき、子供の頃に味わった懐かしい味は「キウイ」かもしれない。

トランプはＴＶゲームに変わり、パソコンで宿題を片付ける。昔ながらの素朴さは失われたけれど…寒い冬、緑色の甘いキウイとおこたを囲んだ一家団らんの優しい場面が、いつかやってきてほしいと願っている。