キウイフルーツ果実に含まれるアクチニジンは、その食味、食品機能性、調理・加工特性やアレルギー誘発性などに関与することが知られている。 本研究では、国内で入手可能な11品種のキウイフルーツと6品種*のサルナシについて、その果汁中のアクチニジン濃度およびプロテアーゼ活性を測定し比較した。
キウイフルーツとしては、6品種のdeliciosa種(ヘイワード、ブルーノ、アボット、エルムウッド、香緑、讃緑)および5品種のchinensis種(魁蜜、紅心、ゴールデンキング、レインボーレッド、ホート16A)を、またサルナシとしては、香粋、信山、平野系、月山系、一才および光香の6品種を用い、それぞれの適熟果実より果汁を調製した。 果汁中のアクチニジン濃度は定量的電気泳動法によって、また活性は人工基質であるL-pyroglutamyl-L- phenylalanyl-L-leucine p-nitroanilideを用いて測定した。
用いた17品種のうち、アボット、香緑、魁蜜、信山、平野系、月山系および光香では、主要な経済栽培品種であるヘイワードと比較して、アクチニジン濃度やプロテアーゼ活性が有意に高値を示した。 そのためこれらの品種では、食肉軟化剤や酵素の供給源としての利用法が有効だと考えられた。 一方、レインボーレッド、ホート16Aおよび香粋の3品種の果汁では、プロテアーゼ活性がヘイワードの6〜7%程度と有意に低値を示し、また乳タンパク質、筋原線維タンパク質およびゼラチンの分解作用もわずかであった。 この結果より、プロテアーゼ活性の低いこれら3品種では、ヨーグルトなどの乳製品と混合したときに生じる苦味の発生や、ゼラチンゼリーのゲル化阻害作用などが軽微である可能性が示唆された。
* 正確には「品種ならびに保存系統」であるが、ここでは便宜的に「品種」と呼ぶ。 |