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その外見からでは、熟し具合が見分けにくい為、キウイフルーツは食べ頃が分かりにくいフルーツと思われがちですし、追熟が不完全な実を食べてしまった方には、「キウイって酸っぱい。」という誤解を受けてしまうことも少なくないようです。

キウイフルーツは、樹上では熟さない果物です。 収穫後に追熟して、初めて本当に甘く美味しくなります。 追熟処理して市場に出荷されますが、まだ十分に追熟がなされないまま店頭に並ぶこともあるようです。その場合は、家庭での追熟が必要になります。

家庭では、２０℃を超えない程度の室温に放置した後、キウイを縦に軽く指で押してみて、少しへこむ位が食べ頃として適当とされています。 ただ、私の経験では、室温で放置した場合、軟らかくなっても、表皮のハリがなくなってしまったりすることが何度かありました。エチレンを大量に出すリンゴを1個、ポリ袋にキウイと一緒に詰めると、追熟が早く進むばかりではなく、きれいに本来の風味に仕上がるような気がしています。

ここでは、ちょっとした注意が必要です。 ポリ袋の中が、呼吸したキウイの二酸化炭素でこもってしまわないように、小さな穴を開けておいて下さいね。 追熟していないキウイフルーツは、冷蔵庫の中に袋を入れて置いておけば、数ヶ月の保存も可能だそうです。

本当は、簡単に追熟ができて、その上、食べ頃を調節できる･･･ そんな便利なフルーツだったんですね。

エチレンが植物の成長に影響を与える成分であることが分かったのは、20世紀のヨーロッパでした。ガス燈がある街路の樹木や、ガスランプがある実験室での植物の成長の異変に注目したのがきっかけで研究が進められたのです。 そして、次々と、エチレンが植物の成長に大きい影響を及ぼすことが、知られるようになりました。また、植物自体がエチレンガスを出すことも
明らかとなり、植物ホルモンの一つと認められました。エチレンは、種子の発芽に関与したり、茎の肥大成長を促進したり、落葉を引き起こしたりし、植物の生涯の始めから終わりまで、いろいろな生理現象の調節に働いています。

以前のキウイ袋がけの取材で、こんなことがありました。 本来、キウイは樹上では熟さないけど、葉等にこすれて傷がついてしまった実は、樹上で熟して甘くなる････そんな話をお聞きしたのです。 一体、どうしてなのでしょうか？

実は、これも、エチレンの働きなのです。 植物は、ストレスによってもエチレンが発生することがあり、この傷ついたキウイの話は、どうやら、ストレスによりキウイが本来出すはずのないエチレンを自ら出したことによって、樹上で熟した結果のようです。