1)来歴
キウイフルーツ「讃緑」は、昭和61年(1986年)に「香緑」に中国系キウイフルーツの雄品種を交配し育成した品種である。「香緑」に続いて平成11年9月に種苗登録された香川のオリジナルキウイであり、キウイフルーツ3兄弟の次男である。 |
2)果実の特性
果実表面は褐色で、表面の毛じが少ない。果実の大きさは100g程度、果形は長楕円形で果頂部が尖るスマートな外観である。果肉は黄緑色を呈しており、糖度は17〜18%程度で糖酸のバランスが良く食味良好である。 |
3)栽培上の留意点
発芽時期が「ヘイワード」と比べて2〜4日早いため、晩霜害には注意する。開花時期も一般の受粉品種より早いため、前年の冷凍貯蔵花粉または専用の雄品種が必要である。
ほとんどの花に側花が着生するため、側花を除去する摘蕾作業が必要である。なお、「香緑」同様に結果母枝の基部に着生する果実は奇形果になりやすい(写真3)。また、扁平で大玉の果実に空洞果が発生しやすい(写真4)。
花腐れ細菌病については、「ヘイワード」と同程度の抵抗性と考えられるが、降雨には十分注意が必要である。
「ヘイワード」に比べると追熟は容易であるが、「香緑」より難である。貯蔵性も「ヘイワード」に比べて短く、5℃貯蔵で5〜6ヶ月である。果実軟腐病の抵抗性は、「ヘイワード」より弱いが、「香緑」より強い傾向である。
「香緑」と同様に樹勢が強いため、新梢管理の徹底を図り、1本当たりの樹冠面積の拡大を図る。着果量も、「香緑」同様に糖度の高い果実を生産するため、強めの摘果を実施する。 |
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3.讃緑の奇形果 |
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4.讃緑の空洞果 |
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4)取り組み状況
要領の良い次男「讃緑」は、「香緑」を超える甘さと濃厚な味わいを醸し出し、そのスマートで精悍なマスクが自慢である。「香緑」に比べ食味及び貯蔵性は良好であることから、消費者に十分アピールできる品種であると考えられる。新しい品種で生産量が少ないため、現在、栽培技術を確立し、現地への普及を図っている。 |
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1)来歴
サルナシ「香粋」は、昭和62年(1987年)に一才サルナシに「マツア」を交配し育成した品種である。「香緑」、「讃緑」に続いて平成11年9月に種苗登録された香川のキウイフルーツ3兄弟の末っ子である。 |
2)果実の特性
果実表面は緑褐色で、全くの無毛である。果実の大きさは着果部位・方法により異なるが、30〜50g程度と普通のキウイフルーツの半分以下の大きさである。果肉は濃緑色で、糖度17〜20%と甘味が非常に強くて食味良好である。果実は、樹上で柔らかくなり始める(香川県で10月下旬〜11月上旬)。成熟期は10月中下旬で「ヘイワード」より2〜3週間程度早い。 |
3)栽培上の注意点
発芽時期が「ヘイワード」と比べて10〜14日程度早いため、晩霜害には特に注意が必要である。開花時期も一般の受粉品種より早いため、前年の冷凍貯蔵花粉または専用の雄品種が必要である。花の形質が弱く、花腐れ細菌病に弱い。
着花量が非常に多く、中心花に側花、孫花(1花穂平均5〜6花)が着生する(写真6)。そのため、従来の摘蕾・摘果作業は困難と考えられるので、省力的な着果安定技術として無摘蕾+機械受粉(中心花の開花率70、100%)+摘房が最も効率的であると考えられる(写真7、8)。
果実が樹上でバラバラに成熟し始めるため【図1】、成熟した果実から随時収穫すると収穫に手間がかかる。そこで、食味・果実品質・貯蔵性の観点から開花盛期からの平均気温の積算温度で4,000℃、収穫時の糖度9〜10程度(香川県で10月20日前後)に収穫を行なうのがよいと考えられる。
収穫後の自然追熟の進行が早く、貯蔵性は短い(10月下旬収穫5℃貯蔵で約1〜1.5ヶ月)。長期貯蔵技術として、コンテナ貯蔵の場合は0℃貯蔵、ポリ脱気包装の場合は0.05mm厚フィルムを使用し5℃貯蔵することにより、90日程度の貯蔵性が認められる。
新梢はつる状に巻きつきながら伸長するため、枝管理に非常に労力がかかる。樹勢が弱いため、樹冠の拡がりは6×4m程度と小さくコンパクトな整枝法が必要である。【表4】 |